Cividale del Friuli:チヴィダーレ・デル・フリウーリという村へ。
以前も一度訪ねたことがある中世の趣が残る小さくて可愛い村。
今回は食の目的で再訪だったのですが、なにせ友人の案内で動くと
調べてみるとここは世界遺産に指定されている村であり、
古くはユリウス・カエサルが築いた由緒ある場所である事がわかり
Friuli Venezia Giulia:フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアの「フリウリ
この村の古い名前に由来するとか。さらに、
Friuli:フリウーリは、ラテン語、Forum Iulii:ユリウスのフォルム(広場)
であると。
ミラノあたりからでも随分と遠いところにあってマイナー感のある
歴史豊かで美味豊富ゆえにどんどんと興味が湧いてきます。
さてこの村にその昔、教皇グレゴリー12世が訪れました。
文献によるとそれは1409年6月6日とされ、その場で評議会や
その際、繁栄と富を願って供された甘味菓子がありました。
それがGubana:グバーナという菓子で、富を象徴する為に当
ヘーゼルナッツ、クルミ、レーズン、松の実を用いたとか。
これらを潰してペースト状にし、グラッパやラム酒を加えて防腐効
パン生地に乗せて巻き上げるようにして焼いてつくります。
Gubana:グバーナという菓子の名前は、”巻き上げる”とい
この地域の方言でgubat:グバットという風に呼ぶ事に由来するそうで
由緒正しい村に伝わる高貴な供物として生まれたGubana:グ
以来、宗教的な行事や祝い事の際に供されるそうですが、中でもと
美味しいものがこの村にあって、一人の女性が黙々と作っているそ
最初はこのような話を知らずにいました。
味覚の似ているこの地の友人にいろいろなGubana:グバーナ
最後に出されたのが彼女のもので、他とは全く異なる気品のある味
興味を持ったところ、
「だろ?!」
なんて自慢げに話し始めてくれたのがきっかけでした。
これは訪ねずにはいられない、そういう気持ちがどんどん強くなっ
実は訪ねる前に輸入できないかどうかメールで問い合わせてはみた
梨の礫(ナシノツブテ)で、紹介してくれた友人も間に入ってくれ
輸出に興味が無いとの事で望み薄。
でも頭を離れないし、やっぱり直接話してみたい。
で、いざ訪ねると、黙々と手を休めない彼女はあまり相手にもして
まさに頑固職人そのものでした。
ちょうど、彼女のもとに届いたヘーゼルナッツをおもむろに取り出
一つ一つ割っては虫がいないかチェックしているところでした。
原材料を吟味し、ひとつひとつの工程に手を抜かないであろう事は
そこに話を向けるとようやく少しずつ口を開いてくれ、こちらの方
くれるようになったのです。
そこで一気に私の思いを伝えました。
何分話したでしょうか、それを黙ってじっと目を見ながら聞いてく
その日一日分のエネルギーを使った感じでした。
ま、だからといって何かが好転したとかそんな事は無いんですけど
そうしないと気がすまなかったのです。
それだけでもわざわざ来た甲斐があったかなぁと思っています。
田舎菓子然とした風体と、誰にでもわかりやすい味では無いかもし
その実、なんともエクセレントな仕上がりはそうそうあるもんじゃ
忘れられなくなってしまったのです。
私はいつだってそんな感じ。
買い付けの旅っていったって、実際に買ってくることなんて殆ど無
話をしても上手くいかない事のほうが多いのです。
でもそうやって話をし続けていくのが好きなのかもしれません。
そのうちに上手く行くこともたまにはあります。
ま、時間のかかる事ですけどね。
次回に続きます。